深海一辺倒

ままならない生活

FINCAさんで推し香水を作ったレポ

香水ショップに行こう!

推しのグッズ・同人誌が出なくなってはや〇ヶ月……いや〇年……。

月日が流れようとも、まだ新鮮に私は推しと推しカプのことが好きだが、”無”を見つめながらろくろを回すのも段々寂しくなってきた頃合だ。

推しカプ二次創作の頻度も落ち、推しの公式肖像画を見ながら、

「こんなに魅力的なのに、どうして供給がないんだろう……なぜオタクが少ないんだろう……」

と出るはずもない推しグッズや推しアンソロを夢見て呟く日々。

その中でぽつりと出たのが、「推しの香水が欲しい」だった。タイムラインでも話題になっているのを見かけたし、他ジャンルの友人が公式でキャラ香水が出た時に喜び狂っているのを見ていたため、漠然とした憧れがあったのだ。

私の推しは、いかにも香水をつけていてもおかしくないキャラクターだったため、尚の事「あったらいいのにな~~~」と思っていた。

そこへ飛んできたリプライ。

「一緒に……推し香水、作りに行きませんか!?」

それは、推し香水作成の経験者である天才のフォロワーだった。

ありがたいお声がけによって背中を押された私は、とにもかくにも推しの香水作りに挑むこととなった。冬の足音が聞こえ始めた頃であった。

推し香水を作ろう!

推し香水を作るために必要なことは2つ。

・どのお店で香水を作るか

・どんなオーダーで推しを伝えるか

である。

お店に関しては、本当に昨今色々なお店がイメージ香水を扱ってくれているので、選択肢も多いのだが、今回はフォロワーさんが行ったことのある新宿のお店にした。FINCAさんだ。

kaoribarfinca.jp

なんでも、こちらが記入したインタビューシート(推しがどんなイメージかを伝える用紙)を元に、調香師さんがいい感じの香りを探してくれるらしい。

インタビューシートは現地で30分程度かけて記入してもよいのだが、私はその場で溜まりに溜まった推し語りをまとめる自信がなかったので、事前にPDFをダウンロードして書き込んだものを持参した。

今回持ち込んだインタビューシートはこんな感じ。A4の用紙にみっちりと愛と解釈を書き込んだ。途中、打ち込んだ文章を全消去してしまう痛恨のミスがあったため、実質2回目の記入である。

男性。年齢は40~50代くらい。大企業の社長を務めています。モチーフは「薔薇」で、イメージカラーは薔薇の真紅と明るいグリーン、高級スーツのグレーです。
特徴としては、父性母性を併せ持っていることが挙げられます。

父性6:母性4くらいです。

 

(父性)
・地位や財力、カリスマ性を生かし、ワンマン体制で大企業をまとめあげています。
才能のある人間を見出し、才のない人間は容赦なく切り捨てる、厳格な実力主義の持ち主です。自分の行動にも迷うところがなく、常に未来を見据えて行動しています。
・自分の目的のためなら強硬策も厭わず、他者の理解も求めないところがあります。
(母性)
・誰に対しても優しく朗らかで、孤児院の子供にも手を差し伸べるなど、慈善事業にも積極的です。ふくよかな体型やたれ目の目元は愛嬌があり、人々からも広く親しまれています。
・持ち前の財力と即断即決ぶりから、他人に惜しみなく様々なプレゼントを与えてくれます。
プレゼントを受け取った人間は、彼に心酔してしまうことが多いです。
・誰かに好意を向けられても、曖昧な笑みで平等に慈愛を持って接してくれます。

 

一人の子供の運命を魔法のように一変させてしまう、蠱惑的で官能的な、憧れの大人です。

これ……調香師さんに見せるの、恥ずかしくないか……??

オタク、推しの自解釈を好きに語っていいぞ! って言われると、嬉しくて数時間を溶かしてしまう生き物。

でも既にお店の予約は取っちゃったし、そもそもインタビューシート自体に「香りのイメージをご記入ください(性格・特徴・好きなところ・モチーフetcなど)」って書いてあるんだから、私はそれに従ったに過ぎない……そういうことにしておこう……。

何度も推敲した推し解釈を手に、いざお店へ!

推し香水を嗅ごう!

お店に着き、予約の旨を伝えると、いい香りの漂う店内へと案内される。

今回は2人での来店だったが、イメージ香水作りは店員さんとのタイマンである。フォロワーにしばしの別れを告げ、面倒見が良さそうな店員さんと対面する。対戦よろしくお願いします。

インタビューシートを渡して、推し香水作りスタート!

……真剣にインタビューシートを読む店員さん。自分の書いた文がキモくないか心配になる。

その後、「モチーフが薔薇だが、実際に薔薇の香りが含まれる方がいいか」「苦手な香りが含まれる組み合わせも試して大丈夫か」などの質問に答えると、本格的推し香水作りに突入する。

FINCAさんは『2種類の香水をパイルアップ(重ね付け)することで1つのイメージを作る』という調香スタイルを取っており、その時も実際に2種の香水を重ね付けした紙を3パターンほど用意してもらった。

香りの説明を聞きながら、マスクから鼻だけ出し、恐る恐る紙を嗅いでみる。普段香水に縁もゆかりもない私は、まずブワッと何かしらの香りがするってだけでスゲ~となっていた。

その中でも1つ目は渋~い感じで、ちょっとワイルド過ぎる気がした。

一方で2つ目、3つ目はダンディでありつつも比較的やわらかい香りで、こちらの方が推しに近い感じがする。(なんとなく……)

その旨を伝えると、次は後者で使った香りを軸に、もう何パターンか別の香水を重ね付けしたものを渡してくれるので、これを嗅ぎ比べる。基本的にはこの繰り返しで、『より推しっぽい方』を選んで香りを作っていく。

「これはダンディさを強めにしてみました」「こっちはもう少し女性的な雰囲気で」など、調香師さんが色々な方向性で香りサンプルを出してくれる……。もうそれだけで楽しい……。

数回やり取りをすると、これ推しっぽいな~と思える甘い香りがあったので、それをベースに調香してもらうことに。

すると、次に渡されたテスターで突然、

「え!!?????? 推し、居る!!???????」

となった。

それまでぼんやりと「推しっぽいかな~」くらいに思っていた香りが、急に『推し』になった。マジ。

「これ凄い推しっぽいです!!!!!!!!!!!」と興奮気味に言うと、もう少し父性(または母性)を前面に出したバージョンと比べさせてくれることに。

ここまで来ると、何度も香水を嗅ぎ比べしたことで鼻がバカになってきていたので、一度テスターを持って店外へ出て行き、外の空気の中で推し香水を嗅ぐ。

いや……でもやっぱこれ……『推し』だわ……。エッ……? 居る……理想の推しが……推しってこんな香りなんだ……。(?)

脳内が感動と「?」でいっぱいになる。鼻から吸う推しに、推しの甘い香りに、あたたかく甘い中にも不思議とダンディさがあり、しかし全然おっさんぽくはなくて、ずっと嗅いでいたい抱擁感と、人をダメにするチャームが……鼻から……。

店外でちっちゃい紙を必死に嗅ぎながら、思わずハァハァと口呼吸する不審者になってしまったが、周りにも2人くらい同じようなお姉さんがいたからセーフでした。

そういえば、店内は女性のお客さんが圧倒的に多いのに、聞こえてくる単語は、全部「彼のイメージは~~」だったな……。皆、推しを求めてここに……(その気持ち、今なら痛いほどわかるよ……)

その後、それ以上に『推し』である香りが見当たらなかったので、ファイナルアンサーをして香水作りは終了。

最後に選んだ香水の説明と、撮影タイムを経てお会計に。これだけしてもらって5000円で……いいんすか!?

推し香水

今回購入した香水は、推しの父性を表すオヴェルタ(スモーキーで甘い香りがする)と、母性を表すサンダルウッド(万人受けしそうな落ち着く香り)でした。

「ぼ、母性→父性の順に香ってほしいです……」というキモオタの願いを反映し、オヴェルタを先に1プッシュしてから、サンダルウッドを上から2プッシュすると良いですよ~! との指南付きだ。1プッシュでも強く香る父性が甘くスモーキーに漂い、そこへ同じくウッド系の母性が穏やかさと嗅ぎやすさを出してくれている……気がする!!

店員さんの受け売りと私の妄想です。ウッドとかスモーキーみたいな香りの分類なんて初めて聞いたから、使い方あってるのかは不明。

でも父性のオヴェルタが甘さを含んでるの犯罪だろと思ったし、サンダルウッドはFINCAさんの公式通販で(香水制作時~今も)一番の人気を誇っていたので、親しみやすさも抜群ってことなんだと思います。最高……。

同じく調香を終えたフォロワーさんとキマった眼をしながら、推しカプを語りながらお茶をしばき、推し香水の嗅ぎ比べを経て……(同キャラのイメージで調香しているはずなのに、店員さんや己の解釈によって全然違う香りでビックリした)

その日は幸せに包まれ……眠った。香水を嗅ぎながら……。

推し概念アイテムを買っちゃおう!

いや眠れん!!!!!!!!!!!!!!!

それからゆうに二週間は、香水と推しのことで頭がいっぱいで悶えた。

マジでこれは私の鼻が逝ったのかもしれませんが、香水の香りがしなくなったな~というタイミングで外の空気を吸うと、突然鼻の奥にあの甘い香りがふわりと漂い、これが残り香………………ってコト!!!???????? と何もない空間で一人暴れることが多発した。

また、フォロワーさんから推しカプイメージのハンカチを頂いたこともブーストになり、私は思った。

「推しのハンカチを……買おう!!!!!!!!!!!」

すぐさま最寄りの百貨店に駆け込み、不慣れなメンズフロアを所在なさげに徘徊したのち、私はポール・スミスでちょっといいハンカチを買って帰った。香水作りからわずか1日のことであった。

推しハンカチ

推しのイメージカラーに合っており、ドットの色が推しが眺める街の夜景っぽいと思った。ドット柄は推しの私服コーデにも通ずるものがあるし、あとはイギリスのファッションブランドなのが良い。推しの懐なら、このくらいのハンカチは道端で転んだ子供相手にさっとあげちゃいそうだし……私が後生大事に持っていても許されるはず……(夢?)

購入時、あんだけ悩んでいたくせにギフト用でもなく自分用に購入したため、店員さんからは明らかに不審がられたと思うが、恥を忍んで店員さんの見送るフロアを後にした。手汗がヤバかった。

今もこのハンカチに香水をつけて嗅いでいる。これを顔に広げて寝ると死人になります。鼻に押し当てるよりは、鼻の前でちょっとはためかせる方が、いい感じに……まろやかな香りがして……最高だ……。

今回の推し香水は、どちらかというとプッシュしてから15分くらいすると甘さが出てきて長く香るタイプだったので、忘れた頃にハンカチを嗅いでもうっとりできます。

こんなの好きになってしまう……。

明らかに推しと推しカプの解釈強度が上がった夜であった。

推し香水をシェアしよう!

FINCAさんで香水を買う際、「今回の推し香水と推しキャラ本人を並べて紹介することは控えてね(あくまでも非公式イメージ香水なので)」と伺っていたので、この記事でも推しの名前は出さないのだが、通じる人にはこの香りを配りまくった。

メッセージカードに吹き付けて、推しカプの同人誌に「推しイメージの香水です! もし良ければ一緒に楽しんでください!」と添えて渡すことで、急にシェアハピした気分に……なる!

これはあくまでも私の推し解釈による香りなので、自分の二次創作にも近いのだが、しかしそこはやはり『プロの調香師さんに選んでもらった』という点が、人にも渡しやすいポイントである。

私の解釈たっぷりだけど私だけの作品じゃない、いうなればこれは第三者との合同誌みたいなものなので、ゲストの方の最高作品を紹介するノリで自解釈もついでに渡せる。

それに香りという一時的でふんわりしたものなので、最悪鼻に合わなかったとしても、紙を処分すれば済む。そのうち消えるので収納スペースなどを圧迫することもない。

しかも嗅いでくれた方から香りの感想を聞くと、まるで自解釈を褒めてもらってるみたいでHAPPY……になる。いいことしかない。

 

最後に

ここまで読んでくれて、推し香水を作ろうか迷ってるオタク~!

推しへの情熱と飢えがあるなら……推し香水、作っちゃお~~~!!!!!!

推しは熱い内に推せば推すだけ楽しめるから!!!!! これマジ!!!!!!!!!!

推しへの情熱も物欲も創作欲求も、いつまでもあると思うな~ってヤツだものね……。

皆さんも推し香水でよき推しライフを~! 推しは居ますよ~!!♡